nuvellazeruneのブログ

春夏はサングラスや金属アクセ、秋冬はマフラーやレザー小物など、季節感をプラスする小物の着こなし術を発信しています。四季折々のファッションを小物から楽しみましょう!

ルイ・ヴィトンの黒いモノグラム・インク、「柄が見えない」バッグに期待していいのか考えてみた

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モノグラムなのに、柄がほとんど見えない。ルイ・ヴィトンの2026年秋冬の新作、「モノグラム・インク」の説明を読んで、最初に思ったのはそれだった。ボールドリー・ブラックのカーフレザーに、同系色でモノグラムを重ねた、いわゆるトーン・オン・トーンの仕上げ。見る角度によって、柄がふっと浮かび上がるという。ロゴの主張が強いブランドだからこそ、この「引き算されたモノグラム」は新鮮に映る。ただ、本当にそれで満足できるのか、という疑問も同時に湧いた。実物は見たことも触ったこともないので、ここから書くのは公開されている説明と、素材についての一般的な傾向をもとにした考えごとだ。


そもそも、ヴィトンのモノグラムを買う人の多くは、あの柄が遠くからでもヴィトンだと分かることに価値を感じているはずだ。それを黒の中に沈めてしまうのだから、ある意味では逆張りのデザインだと思う。分かる人にだけ分かる、という控えめな方向だ。私はこの方向性が嫌いではない。ロゴの存在を知らない人から見れば、ただの艶のある黒いバッグで、知っている人から見れば、ちゃんとヴィトンだと分かる。この二重構造は、通勤や仕事の場面で、ブランドを前面に出したくない人には都合がいいはずだ。


ただし、艶のある黒いカーフレザーには、実用面での注意点もある。光沢のある黒い革は、細かな擦り傷や指紋、ホコリが目立ちやすいというのが一般的な傾向だ。さらに、柄の浮かび上がり方が角度で変わるということは、傷の見え方も角度で変わるということでもある。ツヤ消しの革なら許せる小さな傷が、ツヤのある革だと光を拾って気になる、という経験は、多くの人にあると思う。そのため、使うたびに状態を気にするタイプの人は、少し神経を使うかもしれない。


では、どのモデルが現実的か。私の本命は、横長のショルダーバッグ「スクワイア EW」だ。理由はシンプルで、説明にある実用的な仕様がいちばん日常に向いていそうだから。調節可能なストラップがあり、内装にはフラットポケットがあって、ノートやスマートフォンなどの必需品を収納するスペースがあるという。横長のシルエットは荷物が縦に積み重なりにくく、取り出しやすいのも利点になる。フロントにLVパドロックが付くのも、さりげないアクセントとして悪くない。


一方、「オール・イン BB」には、少し辛口になりたい。バケットシェイプから着想した丸みのあるシルエットは可愛らしいし、取り外し可能なクロスボディストラップも便利そうだ。ただ、コンパクトなサイズだと説明されているので、荷物が多い人には物足りないはずだ。しかも、装飾的なネームタグとパドロックが付いているので、見た目が少し賑やかになる。シンプルさを求めてトーン・オン・トーンを選ぶなら、飾りが多いモデルは、そのコンセプトとやや矛盾する気がする。可愛いけれど、私は選ばない。


ここで比較を一つだけ。艶のある黒いレザーバッグで、ロゴを控えめにしたいという条件なら、プラダのサフィアーノレザーのバッグが思い浮かぶ。サフィアーノは型押しが特徴で、傷や水に比較的強いと言われる素材だ。実用性だけで見れば、そちらのほうが日常で気を遣わずに済む場面が多いだろう。それでもヴィトンを選ぶ理由があるとすれば、柄がかすかに浮かぶ繊細な表情と、ゴールドの金具が黒に映える華やかさだ。気楽さを取るか、見た目の深みを取るか。この二択に尽きると思う。


「スピーディ・バンドリエール 20」と「アルマ BB」は、どちらもヴィトンらしい定番の形なので、安心感がある。スピーディは手持ちからショルダーまで持ち方を変えられ、編み上げチェーンのゴールドが黒に映える。ただ、20というサイズ表記からして小さめで、荷物が多い日は無理が出るだろう。アルマ BBも端正なフォルムで魅力的だが、BBというサイズ感を考えると、収納力には期待しすぎないほうがいい。形としては完成されているぶん、「新鮮さ」を求める人には、少し予定調和に映るかもしれない。


結論。ひとつ選ぶなら、スクワイア EW。毎日の使い勝手と、モノグラム・インクの繊細な魅力を、いちばんバランスよく両立していそうだからだ。ただし、艶のある黒いカーフレザーは、気を遣う素材だと割り切る覚悟がいる。オール・イン BBは、気分で持つサブバッグとして考えたほうがいい。価格や詳しいサイズは今回の情報にないので、7月末の発売後、店頭で確かめてから最終的に判断したい。黒に黒を重ねた、静かなヴィトン。その控えめな姿が、案外、いちばん頭に残っている。